先日、東京・新橋演舞場で「超歌舞伎2022」を観劇してきました。
超歌舞伎とは――伝統芸能の歌舞伎と最先端技術のボーカロイドが融合した歌舞伎を超える歌舞伎、との意。2016年のニコニコ超会議からはじまり、今年で七年目になります。
それなりに歌舞伎公演は見ていますが、超歌舞伎は初めて。
中村獅童さんと初音ミクさんが同じ舞台に立たれるということで、どんなものか想像もつきません。事前情報によれば、ペンライト必須とのこと。歌舞伎でペンライト!?
実際、物販でもペンライト(大向こう付)の販売がありました――が、このペンライトはとにかく人気で、あっという間に完売してしまいました。持ち込みしておいてよかったです。
メインの演目は『永遠花誉功(とわのほまれはなおのいさおし)』といって、大化の改新のきっかけとなった乙巳の変における蘇我入鹿討伐を題材とした歌舞伎作品と、cosMo@暴走Pさん作詞・作曲の楽曲「初音ミクの消失」の世界観をもとに書き下ろされた、超歌舞伎のための新作です。
「初音ミクの消失」は歌詞のストーリー性が高く、発表された当時、何度も聞いていた大好きな曲です。超歌舞伎でもそのストーリー性が生かされており、シンプルな筋のなかにも泣きどころのある、素晴らしい作品になっていました。また、舞台自体も歌舞伎の約束事や演出がありつつ、そこにテクノロジーが掛け合わされており、いままでに見たことのない…まさに超歌舞伎!でした。
上演中にペンライトを振れるのも、超歌舞伎ならでは!
実際に舞台上から促される場面もありますし、獅童さんも「客席と一体になるのが超歌舞伎」と、口上でおっしゃっていました。覚える色も少ないのですぐ馴染めましたが、観劇のようなライブのような不思議な感じでした。
また、普段は歌舞伎をあまりご覧にならないだろうと思われる方々も客席に見受けられましたが、超歌舞伎が好き!というエネルギーが場内にあふれていました。そうして、拍手やペンライトで盛り上がる雰囲気は、まるで江戸時代の歌舞伎のようでした。
なにより一番感動したのは、超歌舞伎ファンの皆さんの大向こうが、本当にお上手だったことです。萬屋!初音屋!という声に、私も大きく拍手をしました。コロナの影響により、まだ実際に声を出すことができないので、音声でも大向こうが聞けて、嬉しかったです。
また、役者の皆さんが「ミクさん」と呼ばれているのも印象的でした。「初音ミク」を仮想ではなく、生きた役者「初音ミク」として向き合っている姿に、ボーカロイドが現れた当時を思い出して、少しホロリときました。
歌舞伎といえば、古臭いような堅苦しいような小難しいような、そんなイメージもあるかもしれません。けれど、実のところ「歌舞伎は何でも取りいれる」ので、常に新鮮さがあり、飽きることがありません。そうした新しい試みや挑戦は「すべてお客様の喜びのため」というのが根底にあるので、イチ歌舞伎ファンとしては最大限にそれを楽しみ続けたいなと思う次第です。
来年のFF歌舞伎も楽しみです!