歌舞伎観劇が生活の一部になって、まもなく二十年くらいになろうとしています。
歌舞伎ファンとしてはまだまだ若輩者だと思っておりますが「趣味は歌舞伎を観ることです」と言うと、たいてい「すごいですね」と言われます。
いえ、何もすごくはないんです。日常生活の中に歌舞伎を観ることが常にあるだけなんです。それは、推し活だったりスポーツ観戦だったりショッピングだったり、誰にもある数ある趣味のひとつと同じなんです。
ただ実際、私も歌舞伎を見始めたころは、少しばかり堅苦しく感じていました。なんか歌舞伎って、なんか…なんかじゃない?
初手で感じてしまう、このちょっとしたひっかかりはなんだろう。歌舞伎=敷居が高い、という一般的なイメージはどういったところにあるのだろう。
いち歌舞伎ファンとして、少しばかり掘り下げて考えてみようとおもいます🤔
敷居その一「チケット代が高そう」
話にまず上がるのは、チケット(切符)のお値段です。これは必ず言われますね。
高い席「も」あります。
安い席「も」あります。
座席の等級によって価格が違うことが、歌舞伎公演では常です。
年間通して歌舞伎を上演している歌舞伎座を例に見てみましょう。
歌舞伎座は、約1800席もある大きな劇場で、1階~3階まである客席の等級は5つの区分に分かれています。どの客席がどの等級か、というのは客席表で確認することができます。
切符代は公演形式によって多少異なりますが、昼夜公演の場合は、1階桟敷席20,000円~3階B席4,000円とピンキリです。
また「幕見席」という演目のひとつだけを見ることができる4階席は1,000円~2,000円とかなりお得(演目によって異なる)です。幕見席は公演前日~当日の発売なので、思い立ったときに行ける気楽さもおすすめです。
こういうお話をすると「3階席や4階席は割とお手頃なんですね」と反応をいただけます。でも同時に「遠くて見えづらいのではないか」とも言われます。
劇場によって構造も異なりますし、見えやすさは主観的な部分も多いので、非常に難しい部分です。ただ、それこそ個人的な意見ですが、歌舞伎座は「3階席や4階席でも充分見える」と思っています。
歌舞伎座の舞台は間口(舞台正面のはば)が広いので、舞台に向かって正面の座席であれば、わりと全体を見ることができます。これにオペラグラスがあれば、舞台上の役者の表情もしっかり見えますので、初めての方でも楽しめるのではないかと思います。歌舞伎座ではオペラグラスのレンタルもありますので、持ってなくても大丈夫です。
もちろん、役者さんのお芝居を間近で見たい場合や、花道の臨場感を味わいたい場合には、一等席がやはりおすすめです。けれど、けして安くないお座席でもありますので、歌舞伎を観たいけれど、何がいいのかあまりよくわからない場合には、お手頃なお座席で、まずは歌舞伎の雰囲気を味わっていただくのもよいかもしれません。
はい!これで「チケット代が高そう」という敷居が低くなりました🫶